Roots and Branches:
Yasumi-san’s Lifelong Favorites

“ Pâte à chou-パトアシュ”
《45Rの創業とほぼ同時期に出版されたフランスの絵本、『パタシュ星をとる』はやすみさんが大好きな本のひとつ。
好奇心いっぱいでいたずら好きの主人公の男の子、パタシュがコレクションの名前の由来となった。》

創業45年を迎えた45Rのデザイナー、井上保美がずっと大好きなものだけを詰め込んだ
一年限りの限定コレクション、パトアシュが2022年9月8日お披露目となる。
今回は、やすみさんのインタビュー後編。
やすみさんに、大好きなものやルーツになっているものを聞いて、
パトアシュのものがたりをさらに探っていこう。

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エレガントで「ハレ」のものと、ワークウェアの「ケ」をとりあわせるのが、45R独自のスタイル。
例えば、可憐なレースのブラウスに無骨なワークパンツを合わせる、または女の子が憧れるギャザーたっぷりの
ドレスに海の男達が履くワーキングブーツを合わせるのは、やすみさんならではの世界観。
この世界観のルーツになっているものは、どんなものなのだろうか。

〜日々の生活の中にあるたくましくて
生き生きとした女性像にみる
エレガントさや色気〜

 「最近サブスクで赤毛のアンのドラマを観たんです。アンの幼少時代のシーンで、育ての母はその時代の女性ですからいつも家の中で力強く作業をしているんですけど、ドレスの下にはきちんとレースのペチスカートを穿いているという世界観。わたしが好きなのは貴族的なきらびやかな美しさではなく、日々の生活の中にある女性らしさなんです。」

45Rの服の特色を二元論的に語るとすれば、海と山、男と女、東洋と西洋、
米国文化と欧州文化の融合などがあげられる。


これだけ多様な要素の服を組み合わせても、一貫して感じられるのは“45Rらしさ”。
その中に確固として存在するやすみさん独自のスタイルについて、さらにおはなしを聞いた。

 「大好きなレース、それをワークウェアと組み合わせるハードとソフトの着こなしが私の世界観です。それだけのコーディネートの幅を表現できるのは、45Rのユニセックスなものづくりのおかげです。
 常日頃、自分の好きなものは何なんだろうと考えることがあります。昔から洋書の切り抜きのスクラップをずっとしていて、それを5年後に整理して、また10年後に整理して、最後に残ったものが本当にわたしの好きなものなの。分かったことは、少女らしいものは好きだけれど、たくましさの中の乙女ごころが大事なのです。」

〜わたしのルーツ〜

 「これは40年以上前にわたしが切り抜いたものなんですけど・・・女性がTシャツにサスペンダーで吊ったブカブカのワークパンツを穿いていて、それでも首元には繊細なレースの付け襟をきちんと付けているという着こなし。この写真がわたしのルーツなんです。」

ずっと古いものが好きだった。あたらしくてきれいなものだけではものたりないと
思っていた。・・・たとえ都会で生きるとしても、大地に根ざした服がつくりたいと思っていた。

そんな風に「四十五有」の中で語ってくれたやすみさん。
そんなやすみさんが、昔からずっと大切にしている私物を持ってきてもらった。
古今東西さまざまなものが無造作に並べられていても、不思議とどれも調和しているのはなぜだろうか。

〜つくり手の愛がこもっているものが
永遠に残る〜

 「わたしのもの選びのものさし、ひとつの方法は・・・使い込まれたとても古い木や石の板があります。その上に置いて、馴染むかどうかという事。
迷った時はそれを想像して自分自身の価値基準にしています。今わたしの手元に残っているのはそういうものだけです。そしてさらに言えば、つくり手の愛がこもっているものが永遠に残ります。」

加えて、やすみさんが好きなものの中で、アクセサリーといえばまず思い浮ぶのはパール。Tシャツとデニム、そして首元にパールを合わせるだけで、それはやすみさんの着こなしになる。パトアシュでも、やすみさんがデザインしたパールのネックレスとイヤリングを揃えられている。
やすみさんが、パールが大好きになったルーツはどこにあるのだろうか。

 「集めていた洋書の切り抜きのひとつに、フランスの建築家のシャルロットペリアンが、上半身裸でメンズのウールスラックスを穿いて、遠くにそびえる山々を眺めながら力強く立っている、という写真があったんです。彼女の鍛えられた上半身に身に付けられていたのはパールのネックレスだけでした。たぶんその写真を見た時からパールに惹かれて、パールが大好きになったんだと思います。」

さいごに・・・やすみさんが仕事以外で好きなものは何だろうか。

〜甘いものが大好き 
そして、つめきりのすけ〜

 「甘いものが大好き。甘ければなんでもいいんです笑。毎食後、必ず甘いものでしめないと食べた気がしないくらい。今日はお昼ごはんの最後にモンブランを食べました。ちなみに今ハマっているのは《茂助だんご》のこしあんのおだんごです。あと、わたしは意外とコツコツした仕事が好きで、お茶のお仕覆をつくりにお茶の先生の所に通っていたこともあります。
 こうやって会社で服づくりの仕事をしていなければ着物作家とか、一人で機織りの仕事をしていたかもしれませんね。

 あと好きなものということでひとつだけ紹介したかったのは、何十年も使っている爪切りがあるんです。《つめきりのすけ》という爪切りセットで、初めて会社のお給料が振込になって通帳を作ったときに銀行でいただきました。キャラクターが描いてあって、それがとっても可愛いの!それにすっごくよく切れるんです。友達にも“やっちゃんてまだこんなの使ってるの?”と言われるんですけど笑。」

服づくりをしている時の様子とは違うおちゃめな一面を見せてくれたやすみさん。
甘いものに目がないなんて、まるで絵本にでてくるパタシュくんのよう。
そんなやすみさんが手がける45周年特別コレクション「パトアシュ」、9月8日に発売開始です。
どうぞお楽しみに。

『四十五有』, フォーティファイブアールピーエムスタジオ株式会社, 2022年4月5日

パトアシュ海の製品は、下記店舗のイベントにて9月より随時販売予定です。
製品の素材、形、色などは変更になる場合がございます。あらかじめご了承ください。

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