Collection Summer 2022

二〇二二 な つ

あとがき

45周年記念の本を作るにあたり、久しぶりに全国各地の現場、工場をまわりました。改めて、45Rはよいチームを持っているなあと実感する日々でした。原料から糸、生地、服、売場と、全て自分達で手掛けるのが 45Rのモットーであり、強みでもあるのですが、実はアパレルブランドの多くは生地の買付けから服作りをスタートします。私達が原料生産から始めることにしたのは、30年程 前、とにかく着心地のよいTシャツ、デニムを作りたい、という一心からでした。
原料は綿、麻、ウール、産地はアフリカ、インド、アメリカ、スコットランド、オーストラリア等です(加工は全て国内で行なっています)。担当者が頻繁にやり取りし、ときに現地を訪ねて、45Rにふさわしい素材作りに努めています。今でこそ現地の人々も「45らしさ」を理解してくれましたが、当初は失敗の連続、 勉強代も随分と掛かりました。他の会社が原料作りに手を出さない理由がよくわかりましたが、服作りにおける原料の大事さは、自ら手掛けることで初めて得 心できた気がします。
先日、和菓子の会社、漢方薬の会社の社長と続けて話す機会がありました。前者は小豆、後者は草木、ともに原料の大切さについての話になりました。質の改良はむろんですが、異口同音にふたりが強調していたのが、備蓄の必要性でした。我々のように自然素材を扱う業種は、気候変動による自然環境の不安定さが 近年の悩みの種です。さっそく、原料備蓄の手段を講じることにしました。納得のゆく原料がなければ、後の工程がどんなに上手くいっても、45らしい服にならないからです。
橋慎志