Collection Autumn 2023

二〇二三 あ き

あとがき

 これまで何度か、ネイティブアメリカンの文化について、その魅力を語ってきました。エドワード・S・カーティスによるホピ族の写真をMoMAで見たときの衝撃は決定的なものでしたし、ニューメキシコ州サンタフェで晩年を過したジョージア・オキーフの家やライフスタイルにも、先住民文化のこだまを聞いていたように思います。
 もちろん彼らの手仕事、手織の衣服や敷物などにも強く惹かれてきました。とくにその文様の幾何学性、抽象性は、「どうやってこんな図柄思いついたんだろう」といつも不思議です。宇宙人的、といってもよいかもしれない彼らの文様感覚から連想するのは、縄文の土器や土偶です。現代社会に生きる私たちの感覚とは懸けはなれているようで、でもどこかわかる、惹きつけられるところがあります。忘れていた、失いそうになっていた原始の感性を覚醒させてくれる気がするのです。
 「原点」「野生」という言葉を、45Rは大事にしてきました。たとえ都会で暮していても、服に野性味を持たせることで、そしてその服を着ることで、いつでも原点回帰できる──そんな服作りを心がけてきました。では、回帰すべき原点とは何か、と考えたとき、まず思いうかぶもののひとつが、ネイティブアメリカンの文化なのです。 
橋慎志