裏手に根津美術館の敷地が広がる現在のBadou-Rは、実は二代目。初代のお店はそこからさらに5分ほど歩いた、静かな住宅街の中にありました。
Badou(馬道)-Rという名前は、初代のお店の場所がその昔、馬の休憩所だったことに由来しています。
1999年に建てられた初代Badou-Rは数寄屋大工による日本建築。石、土、木のみを材料として建てられ、自然素材の力強さを感じられる数寄屋造りの建物でした。
それに対して2019年に建てられた現在のBadou-Rは日本建築の素材や工法を用いつつ、現代性を取り入れてデザインされたお店に生まれ変わりました。
暖簾をくぐると、目の前に現れるのは不思議な模様のガラス戸。Badou-Rの最も特徴的な什器となるこのガラス戸を通すと、太陽の光はハート型の影を地面に落とし、人影はモヤっと曖昧なシルエットに映ります。はっきりと映らないことで店内に居る人は居心地が良く、光も柔らかく取り込むことができる、遊び心溢れたオリジナルのガラスです。
ガラス戸の手前には黒い瓦を敷き詰めた路地をつくりました。奈良で焼かれたこの敷瓦は低い温度で焼成されることでツヤが抑えられ、打ち水によって濡れることでさらに深みを増します。