葉山店

憧れ続きてきた海のそばにいよいよお店が完成します。
逗葉新道で100円を払い、トンネルを抜け、渚橋交差点のスマアールの看板を左に進むと現れる、エアストリームと波打ち際の洋服屋。
海の方を臨めば、相模湾の水面が太陽にきらめき、山の方を臨めば、そのふもとには海を見守るように、お寺がたたずむ場所に葉山店はあります。

お寺から海へと続く道を参道とすると、その中間にある葉山店は参道に明かりを灯す灯堂。
葉山店を設計した建築家はこの建物を「葉山灯堂」と名付けました。

〜建築家について〜


現代美術作家の杉本博司氏と、建築家の榊田倫之氏によって、2008年に設立された”新素材研究所”。
伝統的な素材と技術を研究し、それらを用いて全く新しい建築をつくる試みに取り組んでいます。

葉山店はその建築家と一流の数寄屋大工によって建てられた、どこにもない12角形の灯堂。
暗くなると屋根のてっぺんに突き出した6枚の三角窓に暖色の明かりが灯り、遠くからはまるで灯台のようにも見えます。

建物の主な素材は千葉県産の山武杉(さんぶすぎ)。
樹齢200年を超える太〜い丸太を36本集め、木の赤身の部分を贅沢に切り出して素材を揃えました。葉山店にいらしたらぜひ、山武杉の木目の美しさを見ていただきたいです。
丸太から切り出した材木をずらっと並べて見積もり、木目が美しく揃うように大工が正確に段取って組み上げました。
風雨に強く、堅く重厚な質感も山武杉の特徴。これから歴史を紡いでいく葉山店のためにあったような素材です。

床は大理石。それもフランス、アルザスの古い修道院に敷かれていた大理石を店頭の全面に敷き詰めました。数百年の時を経た石の風合いをそのまま生かし、粗さはあっても仕上げの加工を殆どせずに並べています。葉山店に入った時に感じる穏やかで柔らかい明るさは、この粗削りな床石が海の陽射しを鈍く反射しているのです。

屋根は銅板で葺いて仕上げました。古くから神社仏閣の屋根に使われる銅板は灯堂にふさわしい素材。特徴はあじわいのある経年変化です。潮風に吹かれて緑青色に変化します。

葉山店を彩り豊かにしつらえているのはお店の周りに植えられた植物たちです。
エントランス側には黒松と姫車輪梅(ヒメシャリンバイ)、裏手には夾竹桃(キョウチクトウ)の「松竹梅」を繁栄のシンボルとして。
黒松の反対側にはもうひとつのシンボルツリーとしてアメリカ原産のヒメタイサンボクを植えました。
初夏には甘いバニラの香りの白い花を咲かせるこの木はマグノリアとも呼ばれ、ご存知の方も多いかもしれません。
さらに海側にはヨーロッパ原産のオリーブ、そして南国を感じさせるソテツまで植えられ、色とりどりの多彩な植物が葉山店を飾り付けています。

45Rの文化は海と都会と山、東洋と西洋の和洋折衷。
異なる要素のものも、ちゃんと考えて品良く合わせればとても素敵です。
そうやって新しいものをつくるのは私たちの大好きな感覚なのです。