反毛裏毛っと

原料を選び抜き、糸の紡ぎ方に工夫をこらし、生地の織り方や編み方に知恵を絞りながら、好きな服を創ってきました。
これからはもう一歩先、役割を終えた服たちを原料にして新しいものづくりを始めます。
それは「服の循環」。服をもう一度生まれ変わらせるのです。

「反毛(はんもう)」をご存知の方は多くないかもしれません。
綿花などの原料から糸を紡ぐのが紡績。反毛はその逆で、洋服の生地から糸の繊維に戻す技術のことです。
それは資源が乏しかった日本で100年以上前に生まれた知恵の賜物。
使い古された服や布も分解を繰り返せば再び原料となり、限られた資源を活用して新しいものづくりが可能になります。
このプロジェクトがスタートして1年以上、お客様からのご厚意で45Rの古着を集め、原料となる素材をストックしてきました。

反毛工場では、溜まった膨大な古着たちを素材や色ごとに仕分けるところから作業が始まります。
ベージュ系、グレー系、インディゴ、と色の系統別に生地を振り分けます。
ボタンやジッパーなどの付属品を外すのも欠かせない作業。
生地以外のものが混ざってしまうととても危険なので、隅から隅まで職人の目と手で確認して取り除いていきます。

そうしたら次は機械の出番。
生地を小さく切って、カードと呼ばれる巨大な機械にかけて何度も何度も裁断し、
繰り返し掻きほぐしていくと、生地のかたまりだったものがふわふわな糸の繊維となり、あっという間に雪のように積もっていきます。

そこまでやったら再び紡績です。
さまざまな古着をほぐして出来た繊維を撚って糸にします。
紡がれた糸は元の服の面影をどこか感じる懐かしい風合い。
不均一なふくらみがあり、自然と肌に馴染む糸です。

その貴重な反毛糸を使って何を創ろうか…。
冬の寒い日はくるまって温まり、夏は砂浜に敷いて寝っ転がれる、
ふかふかで気持ちの良い裏毛っとがいいだろう、となりました。
葉山ものがたりのキャラクターたちも勢ぞろい。
みんなでWAIWAI、わたしたちの45年ものがたりを締めくくるおまつりのようです。

この一年を共に楽しんでいただいたお客様へ「ありがとう」の気持ちを込めてご用意しました。