デニムの新作が出ると必ず購入する。持っているデニムは70本以上。
初代デニムマスターの異名を持つ社内無類のデニム好き、
あっぱれ部の後藤健太(ごとうけんた)に話を聞きました。
いつ頃からデニムに興味を持ったのですか?
「父の影響もあり、物心がつく前からデニムを穿いていました。」
初めて自分で買ったデニムは、ヴィンテージデニム復刻の501xx。
当時はデニムの知識がなく、洗濯による縮みや斜行に驚いて
購入した店舗にあわてて持ち込んだそうです。
「上京後、明治通り沿いのお店に一本のデニムが飾られていて。
あまりのかっこよさに目を奪われ店内を覗くと、
白いシャツがずら〜っとラックにかけられており圧巻でした。
何度も通ううちに、デニムが欲しい、から、
45Rで働きたい、に変わっていきました。」
ディスプレイに衝撃を受けたという、45Rとの出会いを語ってくれた後藤さん。
好きなものに囲まれて働きたいというまっすぐな想いが伝わりました。
20年以上使い込まれた1冊のノート。
そこには、素材や糸、染色といったデニムにまつわる知識から素朴な質問まで、
デニムについてびっしり書き留めてありました。
「入社3年後に店長を任されて、週1回南青山の本社に行く機会があって。
毎週、親方(45R社長)と保美さん(45Rデザイナー)を呼び止めては、
1年間に渡り質問を繰り返していましたね。」
初代デニムマスターに選ばれた後、研修の一環でデニムを1から仕立て、
加工や洗いについて学ぶ貴重な機会があったとのこと。
ノートの中に何故デニムを作るのか?という質問が書かれており、
答えの1番上に「愛情」と書かれていました。
「当時は意味がよくわからなかったけど、
20年経った今、ようやく理解できるようになりました。」
【親が子を想いながら繕った肘あてや服のほころびなど、
『愛情』から生まれた仕様(=デザイン)はとてつもなく美しい】
と以前親方が話しているのを聞き、答えの意味が理解できたそうです。
「当時はこのデニムと同じ、納戸納戸のデニムシャツをずっと着ていましたね。」
いちばんのお気に入りのデニムは、入社した2003年に購入の
表も裏も納戸色のインディゴ糸で織った納戸納戸のデニム。
20年以上前のデニムとは思えないくらい大切に穿きこまれ、とても綺麗な状態でした。
「当時29インチのデニムを穿いていたのですが、体形が変わっても穿きたいなと思って、
満足工房にウエスト出しとちょい足し加工をしてもらいました。」
最後に着こなしのこだわりを伺うと、
白シャツとデニムというシンプルな答えが返ってきました。
逃げも隠れもできないスタイルだからこそ、
年齢を重ね、かっこよく着こなせる自分でありたいと語ってくれました。
私が45Rを知ったのは20年以上前、ニューヨークに住んでいたときのことです。45Rのお店を見つけてデニムを購入しました。お香や藍インディゴの匂い、打ち水によって清められた店内の石畳、そして手による仕事を施された服への哲学、お店の中がまるで劇場のように感じられて、強く心を打たれました。
服の裏や後ろを大切にしているわたしたちは、仕様に想いを込めています。中でも、後ろのセンターベルトループは特別です。
ユニークな名前が付けられた45Rのデニム素材。厚いものから薄くて軽いものまで、幅広くオリジナルデニムを取り揃えています。
お気に入りのポイントは、他にはないトーン。ロールアップしても裏までしっかり濃色なところ、色の落ち方、ベルトがなくてもヒップでキープされるシルエット。スタイリングによって使い分けられて毎日穿けるデニムです。
わっしょい!わっしょい!日本の祭の衣装といえば、法被。わたしたちの法被は10年以上前にBadou-R本店で「祭」をはじめたとき、祭を盛り上げる祭り野郎の晴れ着としてあつらえたものです。
その頃はワンピースばかり着ていてデニムの接客が苦手でしたが、だんだんとデニムやメンズライクな着こなしにチャレンジするようになりました。
デニム祭でより多くのお客さまにわたしたちの想いを届けるため、瓦版の発行が決まりました。
大胆に施されたパッチワークや華やかに描かれた刺繍とスタッズは思わず見惚れてしまうほど。デニム祭にて限定販売する遖加工デニムを紹介します。
神様にお参りする姿や、畳に正座をする凛とした姿。日本の景色に馴染むソーバーを創ることは、第二章のはじまりとともに向き合ってきた1つの課題でした。
ブルルルルルルッ、ブルルルルルッと、針を動かすミシンの音が、お店の奥から聞こえてきます。
わたしたちのホワイトデニムは温かみを感じる素朴な白、夏服とも冬服とも相性が良く、着まわしのきくオフホワイトです。
「Rの刺繍が大好きです」あるお客さまがわたしたちに下さった大切な言葉です。
45Rのお店にいらしている方には「祭」をご存じの方も多いと思います。血を滾(たぎ)らせ、全員一丸となって取り組む祭はわたしたちの伝統行事。そして、デニム祭のシンボルとなるのが三種の神器です。
デニム第二章のはじまりに、5種類のかたちを揃えました。
「墨に五彩(ごさい)あり」という言葉があります。墨だけで描く水墨画では、書道の墨汁のように濃い色から水のように薄い色まで、墨の濃さによって色彩を表現します。
デニムは基本よく洗います、茶色くなるのは嫌なので。買ってから3か月だけはヒゲをつけるために洗わずに穿き込みますが、それからは1回穿いたら洗います。
たくさん穿いて歩いたデニムは、穴があいたり、裾やポケット口が擦れたり。長く付き合ったデニムは、ウエストが少しきつくなったり。
45Rのデニム創りに欠かせない重力織機。日本で現在稼働しているのは数台のみ、世界的にも注目されるとても貴重な旧式織機です。