Collection Summer 2025

二〇二五 な つ

あとがき

「ないものづくり」がいつのまにか社是のようにもなっている 45Rでは、つねに新たな取りくみをしているのですが、とくにいまは、すべてのデニムの原料を変える、という大仕事の真っ最中です。これまでのジンバブエコットンも、おかげさまでずっと好評だったのですが、私が年を重ねたせいか、そのドライな質感が少し気になるようになりました。より柔らかく、軽やかな生地にできないか、と。
といっても、ソフトなだけではだめで(そうした生地はわりと作ることができます)、しなやかさ、つまり芯がなければ 45Rのデニムになりません。見ためはハードだけれど、穿いてみると軽く、柔らかい──それは、つまるところ、よく穿きこまれたヴィンテージの着心地に近いのかもしれません。あらためて、私たちのお手本、目指すべきものを再認識する日々です。
デニムだけでなく、Tシャツの原料も一斉に変えます。いずれも糸の撚りから微調整を繰返す、時間のかかる作業です。それだけに、完成したときはどこにもない生地になるはず。私自信、とても楽しみにしています。
それと並行して、ビーズや刺繍や絞り染などインドのすぐれた手工芸と、またイギリスきっての老舗のウール生産者とのコラボレーションも進めています。
近年は洋の東西問わず、そうした海外の生産者たちが 45Rとのものづくりを喜んでくれます。とくに説明しなくても、私たちの考えかた、仕事のしかたをすでに理解してくれているので、とてもやりやすい。長年、海外に挑戦してきた成果を、いま、こんなふうに手にすることができて、感慨深く、ありがたく思っています。
橋 慎志