Collection Autumn 2024

二〇二四 あ き

あとがき

 時々イベントなどで店にゆくと、長年45Rの服を着続けている方に声を掛けられます。二〇年、三〇年……思い出とともに話してくださり、ありがたい限りです。先日もこんなことを言われました。「45Rの服は、自分と一緒に年を重ねてくれている気がする。だから欲しい服がいつもある」。こちらは日々精一杯で、ゆったりと年を重ねる余裕はないのですが、それでも、そう受けとめてくれている方の言葉は嬉しく、励まされる思いでした。
 一方で、なかには三〇代、二〇代の若いお客さまもいます。彼らと話していて、なるほどと思ったのは、そうした若い世代は衣服を性差で見ていない、ということでした。女性でもメンズを、男性でもレディースの服を着ることに抵抗がありません。そして、45Rはユニセックスの服が多いから選びやすい、と話してくれました。
 たしかに、私たちはかなり前からユニセックスの服を作ってきました。メンズライクなビンテージのワークウェアなどを手本に、それらをカジュアルに、時にエレガントに現代の服にする、という45Rのテーマがもたらす必然だった気もします。
 そうした服作りの面とともに、私には、売場を居心地のよい空間にしたいという思いもありました。男女ともに、です。たとえば夫婦で買物に来たとき、婦人服売場で妻を待つ男性の所在なさ……あれをなくしたかった。
 45Rのお客さまは、パートナーともに、という場合も多い気がします。ふたりで売場に来ても、ともに自分の服が選べる、相手の服も見ることができる。もしくは共有の服になるのかもしれない──それを一緒に選ぶのは楽しいだろうなと、はたから見ていても思います。
橋慎志