デニムものがたり
45R

インディゴの五彩と加工

「墨に五彩(ごさい)あり」という言葉があります。
墨だけで描く水墨画では、書道の墨汁のように濃い色から水のように薄い色まで、
墨の濃さによって色彩を表現します。

わたしたちのインディゴも一色ではありません。
デニムでいえば、染め上がったままの深いインディゴ、濃(のう)が最も濃い色で、
そこから順番に、洗い加工をかけてアタリを出した焦(しょう)、
さらに加工して色落ちさせた重(じゅう)、
も〜っと白くなるまで色落ちさせた淡(たん)、
最後にダメージ加工まで入れて仕上げた清(せい)と、
元は同じデニムと思えないほどのグラデーションを表現できます。

それを担うのがデニムの加工職人。
「シェービング加工」で文字通りサンドペーパーを使って生地を削ったり、
「次亜(じあ)加工」で脱色剤を使って生地を擦ったり、
座った時にできるシワやポケット口の擦り切れなど、
想像力を働かせながら、まるで本当に誰かが穿いていたようなストーリーをデニムに描いていきます。

そしてこの先はご自身で穿き込み、洗い込むことで、
移り変わるインディゴの五彩を楽しんでいただけます。