Collection Winter-Spring 2024

二〇二四 ふゆはる

あとがき

この冬から、カシミアに注力しようと思っています。いまはどのブランドもカシミア素材を使う時代です。45Rらしさを考えて、「シェットランド風カシミア」をテーマとしました。
 といっても、シェットランドの羊毛の魅力はその不揃いな粗さ。いっぽう、山羊の毛であるカシミアの魅力は身体を包みこむような柔らかさにあります。見ためはシェットランドなのに、身につけるとカシミアの着心地──言うは易く行なうは難しで、納得のゆく服(アランセーターやスクールセーターなど)ができるまで二年近くかかりました。
 内モンゴルの素材を寧波で紡績しています。試行錯誤を繰返し、一見しただけではシェットランドウールと見まがうほどの糸になりました。それを、シェットランドのように固く編みます。
 苦労話はたくさんできるのですが、もちろん、それが大事なのではありません。私たちの目的は、これまでにない服作りであり、また、そうした難題に取りくむこと、乗りこえることで私たちが鍛えられ、45Rの物作りに「魂」がこもることが何より大事と考えています。
 その意味では完成、ゴールはおそらくないのでしょう。この頃は、未完成でありつづけることが完成なのかなと思って、日々仕事を続けています。